「クリエイター達は何でそんなに画像生成AIを否定してるの?」と首を傾げている人がいます。
近年、様々な分野のAIの発展が止まらない! 画像生成AIの進化が止まらない!!
高クオリティな絵が簡単に出来る事で自分で描いた実感は無い為、一枚に対しての愛着も無い。
その為か某ゲームコミュニティでは画像生成AIイラストの事を「デジタル上の死体」と例えられています。
私はこの件については色々とモヤモヤを感じることがあるので今回記事にまとめようと思いました。
AIが生成したイラストの活用法は?画像生成AIの学習データは問題点だらけ?
などなど、この記事では私個人の本音も交えた内容で事情をよく知らない方にも読んでいただきたい内容になっています。
イラストレーターの本音
最初に、私はまだサイト運営始めたて&Twitter放置民だったので、今回は影響力のあるこちらよー清水先生によるアンケート結果を参考にさせていただきまする。
私もこのツイートにコメントと投票をしていました。
その結果をお借りして微力ながら紹介させていただきます。
画像生成AIについてのアンケート、ありがとうございました!
49万インプレッション、投票数2万6945票と大変多くの方にご協力頂けました。
えー、結果ですが個人的にはびっくりです。2万6945票 のうちの91%が画像生成AIへのデータ提供を拒否するというものでした。… pic.twitter.com/wVqblnUV1y
— よー清水🐧🐕🦺YoShimizu (@you629) April 1, 2023
一部で質問の仕方が偏っているとの意見はありますが、当事者たちの意志を確認する事においては簡潔でわかりやすい質問だと思います。
結果はもう歴然で、他所でとったアンケートでも似た結果が出たようです。
すでに人気の絵描きさん等は画像生成AIに対しては発言を控えていた方もいたようですがここに来て数字で表れてきた印象です。
この中で自分の絵を学習データとして提供してもいいと答えた人では、自分にインセンティブ、新たな収入源として考えられるならOKといった方が多かったようです。
商業にて人の技術を頂くのであれば対価を約束する事、やはり本来そうあるべきですよね。
この結果に私は少し安心しました。
そもそも画像生成AIの活用法はあるの?
クリエイターの多くが嫌煙している画像生成AIに対し、クリエイター側にとっての活用法はあるのか?
ちなみに私の場合で言うと制作に関しては著作権など諸々意識している身であるので正直扱いづらい所です。
この記事を書いている現時点で唯一活用できることは、構図を参考に一から描くなどの、従来の参考資料と扱いは同じであくまでもアイデア出しの参考に留めるなどです。
結局描くのは自分で全部描くことになる。うん。ただ自発的にAIイラストを探しに行くような事はしないで。
実際の活用事例
では世間では画像生成AIをどう活用しているのか?実際に見かけた中でいくつかまとめて紹介します
ケース1
- 絵を描かない人が趣味でAIイラストを生成して楽しむ
- そして色々な画像投稿サイトに生成した絵を投稿
- 投稿の際に自主的に「#AIイラスト」を付けたり、各投稿サイトの決まりを守って静かに活動
ケース2
- 自分で売り物になれないレベルの絵を描いてそれをAIに読み込ませ高クオリティの絵を生成させる
- それを「自分が描きました!」と偽り自らをイラストレーターと名乗る
- そしてAI絵でTシャツなどのグッズを作ったりクラウドファンディングで「私のイラストレーターとしての長年の夢が~」等想いを語り、共感した人が支援をする
ケース3
- 画像生成AIが世に登場してから急に絵が神絵になった絵描きが登場
- 自分はAIを使用していないと主張、証明のためにラフのアタリ絵から一枚一枚見せていく事態に
- しかし同業者に一枚一枚チェックされAIを使用していたことが確定的に
ケース4
- 「自分はイラストレーターでAIも使いこなす!」NEW絵師たちが登場
- 「まだAI使ってないの?時代に取り残されるぞ」と使ってない絵師たちに上から目線で語る
- しかし「AIが生成した絵をちょっといじって加工してる位で絵師自身の画力はAI以下」とバッサリ
ケース5
- 流行りのアニメ作品のキャラに似た美少女アニメ絵を専門に画像生成しまくる
- TwitterやInstagramといった色々な箇所で投稿しまくる
- ファンが徐々についてきた時点でpatreonなどの支援サイトで有料化して稼ぐ
ケース6
- ほとんど絵を描けない人が画像生成AIの使い方を習得
- そのままランサーズなどのクラウドソーシングに「イラストレーター」として登録する
- クライアントから手やポーズの一部のみの修正をお願いされるがそれが出来ずに案件途中終了
ケース7
- 元は普通の人が画像生成AIの登場を皮切りに教祖と化す
- AIイラストのすばらしさを唱えて信者を増やし「元データの生みの親」であるクリエイターを敵視
- おそらくほんの少しでも反対の意志を匂わせた者ですらもでまとめて自動でブロックするツールを使用
ケース8
- 企業がクラウドソーシングを利用しコストを抑える為「AI絵の修正のみ」を依頼する案件が現れる
- 単価はかなり低めに設定され、依頼内容もグレーな雰囲気を匂わせる
- 結果、仕事獲得が困難な人やどんな仕事でも取る姿勢の方がその案件に立候補する形に
ケース9
- 他人の絵をトレパク&AIイラストも線から影の入り方、背景までそのままトレパクする絵師
- 周りから指摘されたが「無罪」を主張、逃れられない証拠が次々と上がり観念し謝罪
- デッサンの形を取るのが苦手な為トレパクは今後も必須と思われる
ちなみに画像生成AI「Midjourney」は悪用と異常な需要があったためにこの記事を書いている現在、無料トライアルを停止しています。
Making pictures of Trump getting arrested while waiting for Trump's arrest. pic.twitter.com/4D2QQfUpLZ
— Eliot Higgins (@EliotHiggins) March 20, 2023
どうしても悪用事例が目立ってしまいますが、こちら無料トライアル停止の理由は「利益保護のためである」そうです。
画像生成AIの学習データの問題点
急激なAIの発展に対し、いち早く学習した同業者が逆にAIイラストの生成の仕方を教えている時代です。
一応、教える側としては一般的に注意として「img2imgでの、他人の描いた絵や撮った写真などを無断でAIに読み込ませて似たようなものを生成させる事は犯罪です」と教えている事は多いです。
なので基本はtxt2imgで生成しましょうということなのでしょう(C-Netなどでポージングの調整したり)
ただ、画像生成AIはそもそも違法アップロードサイト等で得た多くのクリエイター達が技術を尽くして描いた、または撮った画像、その他LAIONデータ等諸々無断で画像生成AIに学習させていた疑惑が浮上し、実際に集団訴訟されています。
この記事を書いてる時点、現状の著作権法上においては機会学習のために著作物を複製し学習させることは認められています。
ただ、合法でもこの行為は企業秘密の匠の技術や情報を無断で大量に持って行ったようなものです。
AIに学習させた著作物の権利を有するクリエイター全員に、あらかじめ了承と還元の対応をきちんとしていたら風当りも違ったものになっていたと思います。
「新しい事に対し法が追い付いていないだけの今の合法」、だから何をしてもいいのか?を「いいんだよ」と事情をわかってても振り切れる人もいる中で、今後を色々と考えてみる必要があります。
クリーンなAI
現在は絵藍ミツアプロジェクトなど著作権的にOKなもののみを学習させているAIが登場。
イラストレーターたちに画像の提供の協力をお願いしているようで一般の利用者にはありがたいツールになると思います。
良いと思いますが自分の絵柄を学習させる事で一時的な報酬を得た後「今後もうあなたの絵は必要ないよ、これからはその画風はAIで生成するから」とバッサリいく事態になり、協力すればするほどにイラストレーターの仕事は減っていく未来が見える・・・・・・。
買い切りの形でなく、自分の絵柄が一部生成時に使われるたびに半永久的に使用料をいただける仕組みを希望したいですね。
究極的にいえばクリエイターが自分の絵柄だけを学習させて育てるAIだったなら文句はないでしょう。
ただ、その理想も仕事で使用するには膨大な量の画像データが必要になるので本当に自分の絵「だけ」で育てる事は現状では難しいのではと感じてます。未来に期待。
個人的にはクリエイター側が自分で育てる画像生成AIだけが世に紹介されたら幸せだった。
AIイラスト判別システム
フェイク画像などに対抗する目的でAIで生成された画像か否かを判別するシステムHIVEも開発されました。
そのまま生成されただけの画像なら高い確率で判別可能です。
その他、トレパクやAIイラストを判別する方法は、クリエイターが作業風景を見せる事ですね。
お手軽なものでは作業中のタイムラプス動画です。
それでも編集して「トレパクをしていない小細工」をしたりする輩もいるそうですが、それでもある程度のレベルの絵を描ける方や動画編集に詳しい方がその動画を観れば、絵がトレパクか否かはわかると思います。
私もサイドバーにタイムラプス動画を載せているのでご覧頂けると幸いです。
【手描き】の価値
急成長を続けるAIですが、その流れにおいて改めて手描きのイラストの価値を唱えるイラスト投稿サイトもあります。
「はんどろ」は人間の手で描かれた絵のみを投稿可能とするスタイルで今個人的に注目しているサイトです。
この記事を書いている時点では、既に完成された画像のアップロードは出来ず、はんどろ内での制作ツールで描かれたもののみアップロードできる仕様になっています。
AI、だからこその【手描きの価値】、同じ考えの同士に出会えます。
海外の反応や対応は?
この記事を執筆している現在までで、実際に海外では「画像生成AIで仕事をするからもうあなたはいらないよ現象」が起きています。
ほんの一例、参考事例をあげると中国のゲームスタジオでは15名のイラストレーター中、キャラデザを担当していた5名のイラストレーターを解雇。
記事はこちら
海外ではAIマーク表示の義務化&実名登録制、大統領が画像生成AIの規制について明言するなど画像生成AIを規制する動きが広まってきています。
そして、今後は執筆サービスや弁護士など多くの職も無慈悲にAIにとって代わられる可能性もあるとの事なので、この問題は他人事でなくなる日も近いという事を表しています。
聖 琉の本音
「人間も他の多くの作品に影響を受けて絵を描いてる、なのに画像生成AIに学習させる事と何が違うのか?」と自分に問いました。
人間は影響は受けるが覚えた事を忘れたりする生き物です。
その人の人生において好きなものや嫌いなものが人それぞれで、生き方がそのまま絵にも出るんですよ。
それがつまりその人だけの個性であり、結局は影響を受けながらも忘れたり、完璧に真似続ける事も困難な経験を得て自分の中で諸々昇華した結果、自分が歩んでる人生=自分なりの絵柄として個性が出る。
つまりはそれがその人だけのオリジナリティの形成になるんです。自分だけの代え難い資産(その人の日常の様々な経験を研磨した技術=まさに個人情報)です。
対して画像生成AIはそんな人それぞれの代え難い資産も含め関係なく無許可で丸々持っていく。
それに覚えた事は絶対に忘れない、これが双方の違いだと感じます。
「合法」という名の元にネット上のあらゆる画像を無断でAIに学習させるといった、モラルが問われるような行動を平然と行う世の中において、最早Twitterなどのプロフ欄に「AI学習禁止!」と記載しても残念ながらほとんど自衛の効果は期待できません[…]
AIの発展は歓迎
私は最近までAIならどんな分野でも「あ~、時代に乗り遅れないように受け入れなきゃ~!」と、自分で目利きもせずに手伸ばしで何でも受け入れる姿勢だったのですがそれは逆に今回の件のおかげで少々危ういと感じるようになりました。
様々な分野でAIの発展はもちろん歓迎なのですが、アートの分野においては上記の理由により残念です。
絵描き目線で安心して使えて制作を補助するツールが出る事を期待してます(いや、クリスタとかでもう充分だよね)
「アートの分野でAIをつかいこなせないと時代に取り残されるぞ」と言われたら、私は「世界中の自力で生み出すクリエイター達の力を支持する。画像生成AIは学習した以上のものは出せない。これからも人の手によって新たなアートが生み出される。」と答えます。
AIアートが米国の美術品評会で1位になったのであれば次はまた人間が1位になればいい。
「周りがこうだから」という理由で安易に周りに合わせる考えは肌に合わないです。
ぶっちゃけ私は自分で一定のレベルで大体のものは描けるが画像生成AIは仕事の効率化のために背景やモブを同じ程度の画力で生成してもらうといった利用がしたかったです。
決して、自分の画力より明らかにクオリティの高いものを生成してこれも私の力ですなどと作品の一部として発表はしたくない。
一方で、趣味で個人的にAIアートを楽しんでる分にはまあ・・・いいんです。SNSにアップしなきゃね。本来素晴らしい技術だとは思ってますので。
「私たち、もっと違う形で出会いたかったわ・・・そしたら・・きっと・・・・」みたいな感じ。複雑な気持ち・・わかるかな・・?
結論
最後に、今回の記事の締めにAIイラストについての4コマ漫画を描きました。
今回の記事が役に立ったと思ったらSNSでシェア、TwitterをRTフォロー等反応いただけると嬉しいです。